40代になると、これから何を勉強すればいいのか、意外と難しい。
AI。
英語。
資格。
専門知識。
マネジメント。
身につけた方がよさそうなものはいくらでもあります。
20代なら、興味を持ったものを片っ端からやってみるのもいいかもしれません。
でも40代になると、仕事で求められるものも増えます。
僕の場合は子どもが二人いて、家に帰れば育児や家事もあります。
副業としてブログも始めました。
使える時間は限られています。
一方で、
「これまで身につけたものだけで、50代までやっていけるのか」
という気持ちもあります。
だから最近は、「何を学ぶか」以上に、「限られた時間を何に使うか」を考えるようになりました。
今のところ僕が意識しているのは、大きく3つです。
①これまで積み上げてきた専門性を、さらに深める
②立場が変わったことで必要になった力を身につける
③自分の専門性の「隣」にある力を加える
今回は、40代の会社員として、なぜこの3つに絞っているのかを書いてみます。
40代になって、「何でもやる」のは難しくなった
30代までを振り返ると、僕は比較的いろいろな経験をしてきたと思います。
新卒で事業会社に入り、海外駐在も経験しました。
その後、一度会社を離れてGRC領域のコンサルティング会社へ転職し、約3年後に元の会社へ戻りました。
そうした経験をする中で、自分がこれから仕事で何をしていきたいのかも、少しずつ見えるようになってきました。
一方で、40代になって大きく変わったのは、自由に使える時間です。
仕事の責任は以前より大きくなっています。
家に帰れば子どもが二人います。
興味のあるものを全部追いかけようとすると、どれも中途半端になってしまいます。
だから最近は、
「これから何を新しく始めようか」
よりも、
「これまでの経験を使って、どこを伸ばせば自分の価値が一番高まるのか」
と考えるようになりました。
1.まず、これまで積み上げた「自分の軸」を深める
一つ目は、新しいことではありません。
これまで積み上げてきた専門性を、さらに深めることです。
僕の場合、それはコーポレートガバナンスです。
中でも興味があるのは、単にガバナンスの制度を整えることではありません。
例えば、社外取締役と執行側をどうつなぐのか。
社外取締役が持っている経験や知見をどう引き出し、取締役会での議論を企業価値の向上につなげていくのか。
そうした「取締役会が実際に機能する仕組み」を作ることに興味があります。
役員の指名や報酬についても同じです。
制度として指名委員会や報酬委員会を設置すれば終わりではなく、それによって経営陣の選任やインセンティブがどう変わり、最終的に会社の価値向上につながるのか。
そこまで考えたいと思っています。
事業会社でガバナンスに関わり、その後GRC領域のコンサルティング会社へ移ったことで、自分が積み上げてきたものについても見え方が変わりました。
コンサル時代、クライアントから一般論ではなく具体的な解決策を求められたとき、事業会社での経験はかなり役立ちました。
制度上の正解だけではなく、
「実際に会社の中でこれを進めるなら、誰を巻き込むのか」
「どの順番なら動きやすいのか」
「社内の意思決定を考えると、どんな日程が現実的なのか」
まで考えられたからです。
自分では当たり前だと思っていた経験が、一度外に出ることで、一つの専門性だったと気づきました。
40代だからこそ、これまでの経験を簡単に捨てない
40代のキャリアを考えていると、「リスキリング」という言葉をよく目にします。
新しいスキルを身につけること自体は必要だと思います。
僕自身、AIも使いますし、これまで体系的に勉強してこなかった分野にも取り組んでいます。
ただ、40代からまったく違う専門家になろうとすることが、いつも最善とは限らないとも思います。
20年近く働いていれば、その人なりに蓄積してきたものがあります。
業界の知識。
仕事の進め方。
社内外との調整。
専門領域。
海外経験。
失敗した経験も含めて、20代にはないものがあります。
だから「これから何を勉強するか」を考える前に、
「自分はこれまで何を積み上げてきたのか」
を考えてみる。
僕の場合は、コーポレートガバナンスという軸を捨てず、もう一段深くする。
それが40代の学びの一つ目だと思っています。
2.「今の立場だから必要になった力」を身につける
二つ目は、マネジメントです。
これは自分の専門性とは少し違います。
仕事上の立場が変わったことで、必要性が高くなったものです。
若い頃は、自分が仕事をできるようになることがかなり重要でした。
知識を増やす。
資料を作る。
関係者を調整する。
難しい案件を自分で進める。
自分ができることが増えれば、それが比較的そのまま成果につながります。
でも管理職になると、それだけでは足りません。
これは、自分自身にもまだ課題があります。
例えば、部下に仕事を任せるとき。
骨格や大筋については、方向性を示したり、相談したりしながら作ってもらうことができるようになってきました。
ところが、最後の文言の調整になると、自分で手を入れてしまう。
関係者間の細かな利害調整が必要になると、自分で話をしに行ってしまう。
振り返ってみると、結果として部下を「作業者」のようにしてしまっていた場面もあったかもしれません。
もちろん、自分がやった方が早いこともあります。
自分の方がこれまでの経緯や関係者を知っていることもあります。
でも、それを続けている限り、自分自身がボトルネックになります。
そして、部下にとっても「最後まで自分で仕事をやり切る」経験が蓄積されません。
40代で僕が身につける必要があるのは、専門知識をさらに増やすことだけではなく、
人に任せる。
方向性を示す。
必要なところで支援する。
最後まで仕事をやり切る経験も渡す。
そして、チームとして成果を出す。
という力なのだと思っています。
これは、今の自分にとって専門知識を増やすこと以上に難しいテーマかもしれません。
3.自分の専門性の「隣」にある力を加える
三つ目は、財務やIR、資本市場についての理解です。
これには、自分なりに目指している一つの役割があります。
欧米企業などに置かれている「Company Secretary」です。
もちろん、国や会社によってCompany Secretaryの役割は違います。
僕がその肩書そのものを目指しているというより、関心があるのは、取締役会やガバナンスを支えながら、経営と社外取締役、さらに株主・投資家との接点にもなるような役割です。
自分がこれまで積み上げてきたコーポレートガバナンスの専門性を考えると、その方向はかなり自然な延長線上にあると思っています。
一方で、そこを目指そうとすると、自分に足りないものも見えてきます。
その一つが、資本市場を見る力です。
議決権行使の話だけでなく、企業価値について投資家と話せるようになりたい
仕事の中で、機関投資家の議決権行使を担当する方と面談する機会がありました。
ガバナンスを担当しているので、取締役会の構成や社外取締役、役員報酬などについて対話することはできます。
ただ、機関投資家には当然、企業を評価し、実際に投資判断を行う運用担当者もいます。
そうした人たちと対話するには、ガバナンスの制度について説明できるだけでは足りません。
会社がどのように利益を生み出すのか。
資本をどう使うのか。
事業の将来性をどう考えるのか。
それが企業価値にどうつながるのか。
そうしたところまで理解したうえで話せる必要があります。
議決権行使担当者とのガバナンス対話だけでなく、運用担当者が見ている世界も理解できれば、投資家とのコミュニケーションをもっと深いものにできるのではないか。
そう考えるようになりました。
そしてこれは、自分がやっているガバナンスの仕事にも返ってくると思っています。
取締役会を良くする。
社外取締役の知見を引き出す。
指名や報酬の仕組みを良くする。
それらは何のためにやるのか。
最終的には、持続的な企業価値の向上につなげるためです。
だとすれば、企業価値そのものについて自分が理解していなければならない。
それが、財務やIRを学びたい理由です。
証券アナリストを勉強するのも、その延長にある
そのため、今は証券アナリストの資格にも挑戦しています。
40代になって、仕事と育児をしながら資格の勉強をするのは簡単ではありません。
それでも取り組んでいるのは、資格の名前が欲しいからというより、自分に足りない知識を体系的に学びたいからです。
財務。
企業価値評価。
経済。
資本市場。
これまで仕事の中で部分的には触れてきたものの、体系的には勉強してこなかった領域です。
だからこれは、ガバナンスとはまったく別の専門性をゼロから作ろうとしているというより、
「自分が既に持っている専門性の隣に、もう一つ視点を足す」
という感覚に近いです。
40代の学びは「掛け算」で考える
こうして整理してみると、僕がこれから伸ばしたいものは、実はバラバラではありません。
コーポレートガバナンスを深める。
マネジメントを身につける。
財務・IR・資本市場の視点を加える。
さらに、これまでの海外経験もあります。
これらを別々のスキルとして考えるのではなく、
コーポレートガバナンス
×
海外経験
×
マネジメント
×
財務・IR
という掛け算で考えています。
すべての分野で一番になる必要はありません。
でも、自分なりの組み合わせを作ることで、
「この人だから任せられる仕事」
を少しずつ増やしていく。
40代のキャリアでは、その方が現実的なのではないかと思っています。
「深める・求められる・広げる」の3つで考えてみる
ここまで書いたのは、あくまで僕の場合です。
ガバナンスや証券アナリストの勉強が、すべての40代会社員に必要だとは思いません。
ただ、「何を伸ばすか」の考え方は、他の仕事でも使えるのではないかと思っています。
僕なら、3つの問いを考えます。
一つ目。
「これまでのキャリアで、自分が一番積み上げてきたものは何か」
これが「深めるもの」です。
二つ目。
「今の立場になったことで、以前より必要になった力は何か」
これが「求められるもの」です。
三つ目。
「自分の強みに何を加えれば、できる仕事の範囲が広がるか」
これが「広げるもの」です。
僕なら、
深める=コーポレートガバナンス。
求められる=マネジメント。
広げる=財務・IR・資本市場。
ということになります。
人によって、ここに入るものは当然違います。
営業×マネジメント×データ分析かもしれない。
技術×英語×事業開発かもしれない。
経理×マネジメント×ITかもしれない。
「40代ならこれを学ぶべき」という正解を探すより、自分がこれまで積み上げてきたものから考える。
その方が、限られた時間を有効に使えるのではないかと思います。
40代から、全部やり直す必要はない
40代になると、少し焦ることがあります。
AIが急速に広がっている。
自分より若い人が活躍している。
転職市場では「専門性」が求められる。
50代も少しずつ見えてくる。
だから何か新しいことを始めなければ、と思ってしまう。
僕自身、そういう感覚がまったくないわけではありません。
でも、だからといって20年近く積み上げてきたものを捨てて、まったく新しい自分になる必要はないと思っています。
まず、自分が持っているものを確認する。
それをもう一段深める。
今の立場に足りないものを身につける。
そして、自分の強みの隣にあるものを一つ加える。
40代の学びは、「何でもできるようになる」ためではない。
50代になったときに、
「自分はこれができる」
と言えるものを、今より少し強くするためにある。
今はそんなふうに考えています。





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