仕事でAIを使う機会が増えてきました。
以前は、AIを使うといっても、分からないことを調べたり、文章の下書きを作ったりする程度でした。
最近は、英訳や会議の要約、資料作成など、日常業務のさまざまな場面で活用しています。
実際に使ってみると、便利だと感じることは少なくありません。
特に、これまで自分で時間をかけていた作業を短時間で進められることには、大きな魅力を感じています。
一方で、AIが作ったものをそのまま仕事に使えるかというと、そうではないことも多くあります。
文章としては自然なのに、伝えたいことと少し違う。
資料としてはきれいにまとまっているのに、そもそもの検討の方向性が違う。
そんな経験をする中で、最近はAIに任せる仕事と、自分で考える仕事を意識して分けるようになりました。
AIに作業を任せることと、AIに判断を任せることは違う。
今回は、実際の仕事でAIを使いながら考えている、3つの使い分けについて整理してみたいと思います。

① AIに任せやすいのは、目的が明確な作業
まず、AIに任せやすいと感じているのは、何をしてほしいのかが明確な作業です。
僕が日常的に活用しているものとしては、英訳や会議の要約があります。
英訳は、AIの便利さを実感しやすい
海外の関係者と仕事をする機会があるため、英語でメールや資料を作成することがあります。
以前は、自分で英文を考えたり、表現を調べたりしながら作成していました。
もちろん、今でも最終的な内容は自分で確認します。
ただ、日本語で伝えたいことを整理したうえでAIに英訳してもらうと、文章を作る時間をかなり短縮できます。
特に、単純な連絡や一般的な説明であれば、AIが作った英文を少し修正するだけで使えることもあります。
一方で、関係者への依頼や、微妙なニュアンスを含む説明では注意が必要です。
例えば、相手に強く対応を求めたいのか、それとも協力をお願いしたいのか。
その違いによって、適切な表現も変わってきます。
AIが自然な英文を作ってくれたとしても、自分が伝えたい意図まで正確に反映されているとは限りません。
そのため、英訳そのものはAIに任せつつ、伝えたい内容やニュアンスは自分で確認するようにしています。
会議の要約は、情報整理の負担を減らせる
もう一つ便利だと感じているのが、会議の要約です。
会議では、さまざまな意見が出ます。
議論の経緯を整理したり、決まったことや今後の対応事項をまとめたりするには、それなりの時間がかかります。
AIを活用すると、会議の内容を短時間で整理できるため、非常に助かっています。
ただし、ここでも注意したいことがあります。
それは、会議で話されたことと、実際に合意されたことは必ずしも同じではないという点です。
例えば、ある対応案について意見が出たとしても、それが正式に決まったわけではないことがあります。
AIによる要約では、こうした違いが十分に表現されない可能性があります。
そのため、特に重要な会議では、決定事項や担当者、期限などを自分でも確認する必要があると思っています。
AIには議論の整理を任せる。
でも、何が決まったのかについては、人が責任を持って確認する。
そうした使い分けが必要だと感じています。
② AIと一緒に考えたいのは、構成や選択肢を整理する作業
次に、AIにすべてを任せるのではなく、一緒に考える形で使っているのが、資料の構成や基本的な考え方の整理です。
例えば、あるテーマについて考え方を整理し、それをスライドにまとめたいときがあります。
これまでは、自分で論点を洗い出し、構成を考え、PowerPointで図や表を作成していました。
最近は、こうした作業にもAIを活用しています。
スライドの作成は、考え方を可視化するのに便利
例えば、ある業務について、関係する部署の役割や、基本的な考え方を整理したい場合です。
文章で説明するだけでは分かりにくい内容でも、図や表にすると理解しやすくなることがあります。
AIに基本的な構成を考えてもらったり、整理した内容をスライドとして可視化してもらったりすると、資料作成の出発点を作りやすくなります。
最初から完成度の高い資料を作ることを期待するというよりも、まず形にしてみる。
そのうえで、実際に伝えたいことと合っているかを確認する。
そうした使い方が便利だと感じています。
ただし、スライドとしてきれいにまとまっていることと、考え方が適切であることは別です。
AIが作った資料を見ると、一見すると筋が通っているように感じることがあります。
でも、よく確認すると、そもそもの前提が違っていたり、重要な論点が抜けていたりすることがあります。
そのため、資料の見た目だけでなく、何を伝えたいのか、どのような結論に導きたいのかを確認する必要があります。
AIは、背景や趣旨を十分に理解しているとは限らない
実際にAIを使っていて、特に難しいと感じるのがこの点です。
こちらがある程度詳しく背景を説明したつもりでも、AIがその背景や検討の趣旨を十分に理解しないまま、回答を作ってしまうことがあります。
例えば、あるテーマについて基本的な考え方を整理したいだけなのに、AIが具体的な施策まで踏み込んで提案してくる。
あるいは、社内の実情を踏まえて検討したいのに、一般的な理論に沿って整理されてしまう。
もちろん、AIが示してくれる一般論にも参考になる部分はあります。
ただ、その一般論が自分の会社にそのまま当てはまるとは限りません。
実際の組織体制や、これまでの経緯、関係者の考え方など、検討の前提となる事情が十分に反映されていないこともあります。
そうしたときは、AIが作ったものを修正するだけでなく、そもそも何を検討したかったのかに立ち戻る必要があります。
AIが間違った答えを出したというより、AIと自分とで、考えている問題が違っていた。
そんな場面もあると感じています。
③ 最終的な方向性は、自分で決める
こうした経験から、僕がAIに任せないようにしているのが、最終的な方向性の判断です。
AIには、さまざまな選択肢を提示してもらうことができます。
それぞれのメリットやデメリットを整理してもらうこともできます。
自分では気づかなかった論点を挙げてもらえることもあります。
ただ、最終的にどの方向で進めるべきかは、自分で考えたいと思っています。
なぜなら、仕事上の判断には、一般的な正しさだけでは決められないことが多いからです。
例えば、ある仕組みを導入する場合、理論的には望ましい方法があったとしても、実際に運用できるとは限りません。
組織の状況や、関係者の役割、実務上の負担などを考える必要があります。
また、何を優先するかによって、選ぶべき方法も変わってきます。
AIが複数の選択肢を示してくれることは有益です。
でも、その中から何を選ぶのか。
なぜその方向性がよいと考えるのか。
それを関係者に説明し、実際に仕事を進めていくのは自分たちです。
その意味で、AIは判断の材料を増やしてくれる存在であって、判断の責任を引き受けてくれる存在ではないと思っています。

AIに任せる範囲を決める3つの基準
では、実際に仕事でAIを使うとき、何を基準に任せる範囲を決めればよいのでしょうか。
僕自身は、次の3つを意識するようにしています。
1. 目的や完成形が明確か
まず、何を作りたいのかが明確な作業ほど、AIに任せやすいと感じています。
例えば、英訳や会議の要約は、比較的目的が明確です。
一方で、そもそも何を検討すべきか、どのような方向性を目指すべきかが決まっていない場合は、AIに丸ごと任せるのは難しいと思います。
その場合は、まず自分の考えを整理し、AIには論点の洗い出しや選択肢の提示を手伝ってもらうようにしています。
2. 間違いがあった場合の影響は大きいか
次に、AIの出力に間違いがあった場合、どの程度の影響があるかです。
例えば、社内で使う資料の表現を少し分かりやすくする程度であれば、比較的気軽に試すことができます。
一方で、法令の解釈や社内規則の内容、経営上の重要な判断に関わる場合は、より慎重な確認が必要です。
AIが自信を持って回答していても、それだけで正しいとは限りません。
必要に応じて、原典や社内の正式な情報を確認することが大切だと思っています。
3. 自分たちで説明し、責任を持てるか
最後は、AIの出力を採用した理由を、自分たちで説明できるかという点です。
AIが提案したからという理由だけでは、仕事上の判断としては不十分だと思います。
なぜその方法を選んだのか。
他の選択肢ではなぜいけないのか。
実際の会社の状況に照らして、どのような点を考慮したのか。
こうしたことを説明できるのであれば、AIを活用したこと自体は問題ではないと思います。
逆に、AIの出力を十分に理解しないまま採用することは避けたいと考えています。
なお、これらとは別に、社内情報や個人情報をAIに入力してよいかは、会社のルールや利用環境に従って確認する必要があります。
便利だからという理由だけで、機密情報を外部サービスに入力してよいわけではありません。
AIを使うほど、自分が考えるべきことが明確になる
AIを使い始めた頃は、どれだけ作業を効率化できるかという点に関心がありました。
もちろん、今でも効率化は大きな魅力です。
英訳や会議の要約など、AIに任せることで時間を短縮できる作業は積極的に活用したいと思っています。
ただ、実際に使い続ける中で、少し考え方が変わってきました。
AIが作業を手伝ってくれるからこそ、自分は何を考えるべきなのか。
どのような方向性を目指すのか。
何を優先し、何を実現したいのか。
そうしたことに、より時間を使えるようになるのが理想だと思っています。
AIに任せることを増やす一方で、自分が責任を持つべき部分は明確にしておく。
AIに任せる仕事を増やすことが目的ではなく、自分が本当に考えるべきことに時間を使えるようにする。
これからも、そんな使い方を試していきたいと思っています。



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