最近、そんな話をよく聞くようになりました。
僕自身も、ChatGPTなどのAIを使う中で、今では文章を書いてもらうこと以上に「壁打ち」に価値を感じています。
ただ、最初は「壁打ちって、具体的に何をすればいいんだろう」と思っていました。
質問を入力して答えをもらうだけなら、検索とそれほど変わりません。
実際に使い続けてみて分かってきたのは、僕にとってのAIとの壁打ちは、
「AIに正解を教えてもらうこと」ではなく、「自分の考えを一度外に出して、違う角度から問い返してもらうこと」
だということです。
仕事の資料を作るとき。ブログの記事を考えるとき。何かを判断するとき。
最近は、最初からAIに答えを作ってもらうのではなく、自分の考えをAIとのやり取りで少しずつ整理するようになりました。
今回は、会社員の僕が実際にどのようにAIと壁打ちしているのかを書いてみます。
AIに聞いても「それっぽい一般論」になることがある
AIを使い始めた頃は、
「○○について教えて」
という使い方が中心でした。
もちろん、それでも便利です。
短時間で情報を整理してくれますし、自分が知らなかったことを知るきっかけにもなります。
ただ、仕事で使おうとすると、それだけでは足りないことが多くありました。
たとえば、会社の制度や仕組みについて相談してみる。
背景をかなり詳しく入力しても、返ってくる答えがどこか一般論に見えることがあります。
これは当然なのだと思います。
AIには、自分の会社でこれまで何があったのか、誰が何を気にしているのか、実際にどのような制約があるのかまで、完全には分かりません。
こちらがどれだけ背景を書き込んでも、現実の状況をすべて伝えることは難しい。
だから僕は、「AIが出した答えを、そのまま使う」という使い方はあまりしなくなりました。
一般論として参考にしながら、「では、自分の会社ではどうなのか」を自分で考える。
そのための相手としてAIを使っています。
僕がAIと壁打ちするときの4つのステップ
最近は、おおむね次のような流れでAIとやり取りしています。
1.まず、自分の考えを出す
最初から「どうすればいいですか?」とすべてをAIに委ねるのではなく、「今のところ、僕はこう考えている」という仮説をできるだけ出すようにしています。
きれいに整理されている必要はありません。
むしろ、
「AとBで迷っている」
「この考え方で進めようと思うが違和感がある」
「この3つを論点だと思っている」
くらいでも十分です。
自分の現在地を出してからAIに投げると、その後のやり取りがかなり変わります。
2.違う角度から問いを出してもらう
次によくやるのが、
「別の角度から見ると、どんな論点がありますか?」
と聞くことです。
自分一人で考えていると、どうしても最初に置いた前提の中で考え続けてしまいます。
AIに別の視点を出してもらうことで、
「そもそも、この軸で考える必要があるのか」
「別の立場から見ると違うのではないか」
と考え直すことができます。
AIの提案を採用するかどうかよりも、自分の考えを揺さぶってもらうこと。
僕にとっては、こちらの方が重要です。
3.さらに肉付けするための質問をしてもらう
自分の考えがある程度まとまってきたら、
「この考えをもう少し具体化するために、僕に質問してください」
といった使い方もします。
すると、
「なぜそう考えたのか」
「実際に困った事例はあるか」
「誰にとっての問題なのか」
「例外はないのか」
など、自分だけでは飛ばしてしまっていた問いが出てきます。
それに答えていくと、頭の中にあった曖昧な考えが少しずつ言葉になっていきます。
ブログを書くときにも、この方法をよく使っています。
AIに記事を書いてもらうというより、AIから質問してもらい、自分の経験や考えを掘り起こしていく。
その結果を記事にする。
この方が、自分自身の経験が残った文章になりやすいと感じています。
4.最後は現実に戻して自分で判断する
ここが一番重要だと思っています。
AIとの壁打ちで考えが整理されても、そのまま結論にはしません。
特に仕事では、「この会社で本当に実行できるのか」を最後に考えます。
社内の事情。これまでの経緯。関係者の考え。組織の役割分担。実際に使える人や時間。
こうしたものを完全にAIへ伝えることはできません。
だから、
AIから一般論や別の視点をもらう
↓
自分の状況に当てはめる
↓
違和感があればもう一度AIに投げる
↓
最後は自分で判断する
という往復になります。
僕にとって「壁打ち」という言葉が一番しっくりくるのは、この部分です。
仕事の資料作成でも「文章を書く前」に使っている
仕事で特に役立っているのが、資料を作る前の段階です。
PowerPointの文章をAIに作ってもらうこともできます。
でも、それ以前に、
「そもそも何を論点にするのか」
「どういう考え方で整理するのか」
を決める方が難しいことがあります。
そんなときに、
今考えていることをAIに出す。
抜けている論点を聞く。
違う角度から見てもらう。
こちらから条件を追加する。
また整理してもらう。
ということを繰り返します。
最終的な資料を作る前に、頭の中でやっていた思考をAIとの会話として外に出しているような感覚です。
情報資産のヒートマップを考えたときも壁打ちが役立った
最近、特にAIとの壁打ちが役立ったのが、会社で管理すべき情報資産について考えたときでした。
さまざまな種類の情報について、どれを特に重点的に管理すべきなのか。
それをヒートマップのような形で整理しようとしていました。
最初は「どんな情報が重要か」を考えていました。
ただ、それだけでは優先順位をうまく表せません。
たとえば、事故が起こる頻度が低い情報でも、一度問題が起きれば会社への影響が非常に大きいものがあります。
逆に、日常的に扱う情報だからといって、すべてを同じ強度で管理するのも現実的ではありません。
そこでAIと、「何を評価軸にすべきか」を何度も壁打ちしました。
悪用された場合の影響なのか。
情報が広がった場合の波及性なのか。
法令や契約による拘束の強さなのか。
社会的な影響なのか。
一度漏えいした後に回復できるのか。
こうした視点を出しては、
「この軸だと、この種類の情報が不自然に低くならないか」
「では別の軸にしたらどうなるか」
と考えていきました。
AIが「正しいヒートマップ」を作ってくれたわけではありません。
むしろ、AIから出てきた考えに違和感を持つこともありました。
でも、「なぜ違和感があるのだろう」と考えてAIとやり取りする中で、自分が何を重視したいのかが少しずつ見えてきました。
これが、僕が考えるAIとの壁打ちの一番分かりやすい例かもしれません。
AIの答えが間違っていることにも意味がある
壁打ちとして使うようになってからは、AIが自分の考えと違う答えを出しても、以前ほど気にならなくなりました。
もちろん、事実関係が間違っていれば確認する必要があります。
でも、
「その整理には違和感がある」
と思ったなら、
「なぜ自分は違うと思うのか」
を考える材料になります。
AIの答えを直す過程で、自分の判断基準が見えてくることもあります。
正解を求める使い方では、AIの間違いは単なる問題です。
壁打ちとして使う場合は、AIとのズレさえ、自分の考えを整理する材料になることがあります。
AIに「考えてもらう」のではなく、AIを使って自分が考える
AIを使えば、文章も資料も以前より簡単に作れるようになりました。
ただ、会社員としてAIを使っていて、今のところ一番価値を感じているのは、
「自分で考えなくてよくなったこと」
ではありません。
むしろ、
「自分の考えを外に出し、別の角度からもう一度考えられるようになったこと」
です。
もしAIを使っていて、
「便利だけれど、出てくる答えが一般論ばかりだな」
と感じているなら、一度こちらから仮説を出してみると使い方が変わるかもしれません。
たとえば、こんな聞き方です。
以下が今の私の考えです。結論を作るのではなく、この考えの前提の抜け、違う角度から見た論点、さらに考えを深めるために私が答えるべき質問を挙げてください。
出てきたものを、そのまま正解として使う必要はありません。
違うと思えば、なぜ違うのかを返す。
条件が足りなければ追加する。
別の視点が欲しければ、もう一度聞く。
そうやって何往復かしていると、自分一人で考えていたときより、考えの輪郭がはっきりしてくることがあります。
AIに考えてもらうのではなく、
AIを使って、自分がもう一段考える。
今のところ、僕はそんな使い方に一番価値を感じています。


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