銭湯を始めるには、いったいいくら必要なのか。
前回の記事では、物件取得費だけでなく、ボイラーや濾過器、配管などの設備更新、改修費、運転資金まで含めて考えてみました。
調べてみて感じたのは、単純に「○○万円あれば銭湯を始められる」と考えるのは難しいということです。
そこで今回は、逆から考えてみることにしました。
「自分はいくらまでなら出せるのか」
今の僕は、最初に自分で投じるお金について、2,000万円程度を上限にしたいと考えています。
では、自己資金2,000万円なら、どのくらいの規模の銭湯を始められるのか。
融資やクラウドファンディングも含めて、現時点での資金計画を考えてみます。
なぜ自己資金を2,000万円までにするのか
最初に書いておきたいのは、「2,000万円なら失っても大丈夫」という意味ではないということです。
銭湯をやってみたいという気持ちはあります。
一方で、会社員として働き、家族がいる中で挑戦する以上、事業に入れられるだけのお金を全部入れるつもりもありません。
このブログでは、副業やキャリアについても「今あるものを全部捨てるのではなく、少しずつ選択肢を増やしたい」ということを書いてきました。
銭湯についても、考え方は同じです。
挑戦はしたい。でも、自分が最初に負うリスクには上限を置く。
その一つの目安が、今の僕にとっては2,000万円です。
もちろん、実際に物件を取得する段階になれば、家計や事業計画をもう一度確認する必要があります。
現時点では、「まず2,000万円という枠の中から考えてみる」という意味です。
総事業費は5,000万円くらいまでで考えたい
自己資金を2,000万円にするとして、次に考えたいのが総事業費です。
今のところ、僕は5,000万円程度を一つの上限として考えています。
イメージとしては、こんな感じです。
4,000万円程度
既存の銭湯を引き継ぎ、主要設備の状態が比較的良く、大規模な改修をせずに営業を始められるケース。
僕にとってはかなり理想的ですが、こうした条件の物件に出会えるかどうかは分かりません。
5,000万円程度
既存設備をある程度更新しながら、自分が実現したい部分にも手を入れるケース。
現時点では、このあたりを中心に考えてみたいと思っています。
6,000万円程度
設備更新や改修が想定以上に必要になるケース。
もちろん良い事業になる確信があれば検討する可能性はありますが、今の自分の感覚では、6,000万円まで膨らむと少し怖い。
まずは「想定外も含めて5,000万円程度に収める」ことを目標にしたいと思っています。
自己資金2,000万円なら、残り3,000万円をどうするか
総事業費を5,000万円、自己資金を2,000万円とすれば、単純計算では残り3,000万円です。
ここで初めて、融資やクラウドファンディングを考えることになります。
たとえば、現時点ではこんな組み合わせが考えられそうです。
- 自己資金:2,000万円
- 融資:2,000~2,500万円程度
- クラウドファンディング:数百万円
- 利用できる補助制度等があれば活用
- 開業時に必要でない改修は後回しにする
もちろん、これはまだ事業計画ではありません。
「こんな組み方ができないか」という仮説にすぎません。
ただ、調べてみると、公衆浴場向けには日本政策金融公庫の生活衛生貸付があります。
一般公衆浴場業の場合、設備資金の融資限度額は3億円、返済期間は30年以内となっています。
ただし、ここは注意が必要です。
制度として3億円の融資枠があることと、自分が3億円を借りられること、そして借りるべきことはまったく別です。
僕の場合、検討したいのはせいぜい数千万円単位の事業です。
制度上いくら借りられるかではなく、自分の事業がいくらなら返していけるのかを考える方が重要だと思っています。
僕が気になるのは「借りられるか」より「返せるか」
借入そのものについては、僕はそれほど否定的ではありません。
事業としてきちんと返済できるのであれば、融資を使うことには抵抗はありません。
むしろ、自己資金だけで銭湯を始めようとすれば、自分が負うリスクが大きくなりすぎます。
一方で、気になるのは個人保証です。
会社として借りたお金なのに、事業がうまくいかなかった場合に個人としてどこまで責任を負うのか。
ここは、実際に融資を検討するときにはかなり慎重に確認したいと思っています。
日本政策金融公庫の生活衛生貸付では、担保・保証人については個別に相談する仕組みになっており、一定の条件を満たせば経営者保証を免除する制度もあります。
そのため、現時点で「個人保証が必要」「不要」と決めつけるのではなく、実際の事業計画を作った段階で確認することになりそうです。
そして、それ以前に考えなければならないことがあります。
そもそも、この銭湯は毎月いくら稼ぎ、いくらなら返済できるのか。
借りられる金額より、こちらの方がずっと重要です。
クラファンは「足りないお金を集めるもの」だけではない
もう一つ使ってみたいと思っているのが、クラウドファンディングです。
ただ、僕がクラファンに期待しているのは資金調達だけではありません。
もちろん、数百万円でも集まれば、設備や改修の大きな助けになります。
でも、それ以上に面白いと思っているのが、開業する前から地域の人と一緒に銭湯を作れることです。
僕がいつか銭湯をやりたいと思っている理由の一つは、単にお風呂を提供する施設を作りたいからではありません。
地域の人がふらっと来られて、人と人が緩やかにつながる場所を作ってみたい。
そう考えると、完成してからお客さんを集めるのではなく、作る段階から地域の人に参加してもらう方が、僕のやりたい銭湯には合っている気がします。
「この銭湯を作ってほしい」
「できたら行ってみたい」
「自分も少し関わってみたい」
そんな人が開業前から増えていく。
クラウドファンディングは、そのための手段としても使えるのではないかと思っています。
サウナより、最初から実現したいものがある
以前は、銭湯を考えるときにサウナも重要だと思っていました。
もちろん、集客や客単価を考えれば魅力的です。
ただ、資金について調べていく中で、サウナは必ずしも開業時から必要ではないと思うようになりました。
後から追加できるものは、事業が軌道に乗ってからでもいい。
一方で、多少お金がかかっても最初から実現したいこともあります。
その一つが、子どもが来やすい銭湯にすることです。
僕自身、子どもがいるので、子どもを連れて行きやすいかどうかで施設の使いやすさが大きく変わることを感じます。
子ども用の備品。
親子で使いやすい脱衣所。
お風呂上がりに少し過ごせる場所。
具体的に何が必要なのかはこれから考えたいですが、「家族で行きやすい」は最初から大切にしたいと思っています。
そしてもう一つ、個人的に残したいのが比較的熱めのお風呂です。
子どもが来やすい銭湯だからといって、すべてを子ども向けにするつもりはありません。
家族で来やすい。
でも、昔ながらの少し熱い湯が好きな人にも「銭湯に来た」と感じてもらえる。
そんな場所にできたら面白いと思っています。
5,000万円すべてを使ってはいけない
ここまで考えて、一つ大事だと思っていることがあります。
総事業費の上限を5,000万円と決めても、5,000万円すべてを物件取得と目に見える改装に使ってはいけないということです。
これは、以前、閉業した銭湯を再生する場合の費用を調べたときに強く感じました。
【内部リンク:銭湯への道 #2】
銭湯には、普通の店舗とは少し違う設備があります。
- ボイラー
- 濾過器
- ポンプ
- 配管
- タンク
- 煙突
こうした設備は、お客さんからはあまり見えません。
でも、故障すれば営業そのものができなくなる可能性があります。
そして古い施設ほど、取得後に想定外の修繕が発生する可能性も考えておかなければなりません。
だから探すべきなのは、「5,000万円で買える銭湯」ではなく、「想定外の修繕まで含めて5,000万円以内に収まる銭湯」なのだと思います。
物件価格が安いからお買い得とは限らない。
むしろ、見えない設備の状態の方が重要かもしれません。
今のところの資金計画
ここまで調べたことを踏まえて、現時点での僕の考えをまとめるとこうなります。
- 総事業費:5,000万円程度を上限に考える
- 自己資金:2,000万円程度を上限にする
- 残りは融資を中心に、クラウドファンディング等も組み合わせる
- 事業収益から無理なく返済できる借入額にする
- 個人保証などの融資条件は慎重に確認する
- 物件取得前に設備の状態をできる限り確認する
- 想定外の設備更新に備えた余裕を残す
- 開業時に必要でない設備は後回しにする
前回、銭湯を始めるために必要なお金を調べた段階では、「思った以上にお金がかかるな」という印象が強くありました。
【内部リンク:銭湯への道 #3】
今回、自己資金から逆算して考えてみると、少し見え方が変わりました。
自己資金2,000万円では銭湯を始められない、とまでは言えなさそうです。
融資などを組み合わせれば、総事業費5,000万円程度の計画を検討できる可能性はあります。
ただし、「2,000万円あれば5,000万円の事業ができる」と考えるのも危ない。
本当に重要なのは、残り3,000万円をどう集めるかではありません。
5,000万円を投じても、その後きちんと返していける銭湯を作れるか。
結局はそこだと思います。
次は「1日何人来れば成立するのか」を考えたい
そう考えると、次に調べるべきことも見えてきました。
仮に総事業費5,000万円で銭湯を始めたとして、融資の返済もしながら経営を続けるには、1日何人のお客さんに来てもらう必要があるのか。
以前、自分でざっくり計算したときには、損益分岐点として「1日173人」という数字が出ました。
ただ、そのときよりも今の方が、設備費や借入について少し具体的に考えられるようになっています。
入浴料だけで考えるのか。
コーヒーなどの湯上がりの売上をどこまで見込むのか。
人件費、水道光熱費、修繕費はいくらかかるのか。
そして借入金を毎月いくら返すのか。
次回はこのあたりを数字にして、「5,000万円で始める銭湯は、事業として本当に成立するのか」を考えてみたいと思います。
銭湯をやりたい。
その思いだけで始めるのではなく、一つずつ数字に置き換えてみる。
まだ実際に始めるかどうかも決まっていませんが、この作業を続けることで、「いつかやりたい」が少しずつ具体的な選択肢になっていけばいいと思っています。


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